◆リーシング・セントリックとクリエイティブ・リーシングとは
SC業界でリーシング・セントリックという言葉が使われています。リーシング・セントリックとは、SCが飽和状態になって開発競争の時代から棲み分け競争の時代になり、マーケット(商圏)の中で自らのポジショニングを明確にしなければならない段階のリーシングのコンセプトのことです。これは、今までの「お願い型リーシング=出店依頼型リーシング」から、SCのコンセプトに基づく「提案型リーシング」へとリーシング概念が変化することにより、必要性が高まります。
リーシング・セントリックとは、文字通りリーシングを基軸(中心)としたSCの経営活動であり、SCの開発、SCのリニューアル、SCの再生、SCのリフレッシュ等のリーシングを必要とする事業において、リーシングを「最終目的として事業推進を実施」することです。
ここでのリーシング・セントリックの「セントリック」は、次の2つの意味を持ちます。
@1つは、文字通り「基軸」や「中心」という意味で、リーシングなくしてSCの開発・SCのリニューアル・SCの再生・SC
のリフレッシュは"ない"との考え方に基づき、リーシングを最終目的にすべての経営活動をリーシング達成のために集中させることです。
A2つは、リーシングの主体を「売り手」(ディベロッパー)から「買い手」(テナント)に移すことです。今までのリーシング
は、出店依頼型の売り手発想のリーシングが中心でした。これからは(本当は過去も)、テナントの出店意欲を誘発するための買い手発想のリーシングにならなければなりません。
このように、セントリックの概念は「基軸(中心)という概念」と「買い手の立場という概念」の2つの意味を持っています。
SCの開発・リニューアル・再生・リフレッシュにとって、リーシングは命です。それゆえに、「真摯な態度」(心を込めて物事に取り組む態度)と「創意工夫」(新しい概念とテナントが気づかないノウハウの提案)という2つの観点からリーシングを行わなければなりません。この真摯な態度と創意工夫のあるリーシングを「クリエイティブ・リーシング」と言います。
立地の評価は「良い悪い」ではなく、「どのような特性を持つ立地なのか?」にすべきです。立地によって適正な業態、適正な業種、適正なテナントは異なります。それゆえに、ディベロッパーとテナントが「選び合うリーシング」が必要となります。そのためのリーシングがクリエイティブ・リーシングであり、その手法は3つです。
@戦略ベース・リーシング(第1のクリエイティブ・リーシング)
クリエイティブ・リーシングは、リーシング戦略を策定し、 成功するリーシングに導くためのプロセスとコンテンツに基づいてリーシングを行うことです。そのためには、「SCへのテナントの評価」「SCの立地のポジショニング」「SCのコンセプト」を十分吟味し、リーシングコンセプトに基づいてリーシングを行うことが必要です。
Aデータベース・リーシング(第2のクリエイティブ・リーシング)
SCのリーシングにおいては、ディベロッパーがSCの成 立性に関するデータとテナントの出店判断のためのデータを、客観性を持って証明しなければなりません。ディベロッパーは、イメージ的出店募集説明や都合の良いマーケットデータではなく、SCの成立の背景を客観的に説明することと、テナントがSCへの出店に関して客観的に判断できる内容の出店募集説明を提示することが必要です。選び合うリーシングの第1は、客観的データに基づく「データベース・リーシング」です。
Bマーケティングベース・リーシング(第3のクリエイティブ・リーシング)
立地が良い悪いではなく、立地に見合ったSC の仕組み作りやMDingづくり(テナントミックスの前提となる販売概念)が必要です。立地の特性を見抜き、その立地の特性をSCの仕組みづくりに適用し、SCの仕組みづくりに対応したMDingやテナントミックス計画を策定することが、SCを成功させるために必要です。もちろん、テナントがSCで失敗する場合は、テナント側の経営力やMDingによるものも大きいですが、テナントの持つMDingが活かされない「立地不適合」や「仕組み不適合SC」の場合が多くあります。そのため、ディベロッパーはSCが成功し、テナントミックスが妥当であるとの成功のメカニズムを提案することが必要です。選び合うリーシングの第2は、成功のメカニズムに基づく「マーケティングベース・リーシング」です。